くず(Kudzu、葛)

(くず)というとみなさんは何を連想しますか?

葛湯? くず餅? 葛根湯(かっこんとう)?

わたしにとっては、残暑のキビしい日射しをモノともせず、刈っても抜いても地から湧いて出て、うじゃうじゃ繁殖する凶暴な“雑草”──そういう視覚的なイメージが、まず第一にあります。

tumura

葛は、漢方界では鼻・のどに利く煎じ薬だ。

幼少期の記憶深くにからみついてるんですよね、葛が。

郊外の新興住宅地で育ちましたから、葛はそこらじゅうに生えていながら、一方で(戦前のように)それを保存食やロープの原料として恒常的に採集する旧家はどんどん減少…

その結果、昭和30年代から40年代…自分の生まれ育った街では、廃屋やスレート葺き工場の敷地から壁面をつたって群茂する葛、電柱や電線に巻きつく葛…etc.の“猛威”を至るところで目にしたものです。たぶん、本州以南の地域では、どこでも似たような光景が見られたんじゃないでしょうか?

こんな、どこにでも掃いて捨てるほど生えてる雑草の類(たぐい)の根っこがですよ。漢方&生薬ブーム以来、風邪薬に加工されて小瓶1本あたり“ン百円で”売られてる! という現実にはちょっと苦笑させられます。

まあ、本来ある自然との共生生活を怠り、最後には忘れてしまった現代人には、それも負担すべきコストなのかも^^; しれませんがねー。セルフで近所の葛を刈り葛根を干したから、って小口(少額)で引き取って回ってくれる親切な業者さんもいないだろーし。

さてさて。

日本を代表する野草のKudzu(葛)ですが、アメリカ人にも(見た目ポトスみたいで)栽培しやすそう?と思われたのか、鑑賞用(一部は飼料用)に海を渡ったのが発端となり、栽培どころかKudzuみずからが勝手に猛繁殖。

hansyoku

アメリカ国土の半分以上を”制圧”し尽くした、日本由来のKudzu

みるみるうちに!北米大陸の南部全域を“ほぼ征圧”する、《有害指定植物》となりました。元来の生態系を取り戻そうと、駆除に乗り出している州政府もあります。とはいえ(熱帯地域に育つ蔓草としては)未曾有の繁殖力を備えた葛の“掃討策”が、たかだか三十年や四十年の研究で見つかるものなのかどーか。

とき既に遅し、といったところですねえ。葛根パワー、オソるべぇし。

(逆に)アメリカから渡ってきたセイタカアワダチソウ等の脅威を抱える今日の日本ですが、“野蛮な外来種に母国の自然を食い荒されてしまったァ!”と嘆いているのは、実は、アメリカも同様だったのであります。

出会ってしまったが運のツキ。 ぐっと堪えて相憐れむしか、しかたありませんなあ(哀)

【おまけ】
余談ついでにもうひとつ。

 ツムラの葛根湯は、ダイドーグループさん奈良/葛城(かつらぎ)工場で委託生産されています。

 で、『葛城(=葛の城)の市名の由来をご存知でしょうか。 日本書紀によればその昔、神武天皇率いる皇軍が“葛を刈り集めてその蔓で”頑丈な防護網を結い、土着民の襲撃から周辺の村民を守った・・・とあり、その故事に由来するんだそうです。

 めぐりめぐって葛根湯ブーム。ひじょーに間接的に!ではありますが、葛は今も(葛城市の税収アップに貢献して)、そこに住む市民の生活を支え続けています。

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